11月句会「結果」

  第109回 11月句会「結果」
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12月句会は12月10日(金)午後5時投句締切の3句以下出し

特選句 選評集



1 音もなく空をうるほす鱗雲     直克
2 深呼吸吐ききってまた冬支度    淳子
3 森の中海月のやうに雪蛍      龍子
4 鳴く鳥の小春日和を畑に在る    桃江
5 ただひとり降り立つ駅の鉦叩    直克
6 カフェオレの器は柿色冬を待つ   淳子
7 山茶花の一花一花の白い骨     龍子
8 隼人瓜クックパッド開き知恵借りて 桃江
9 山茶花の捨てるハートのカードかな 直克
10 山茶花の花に始まる灰の色     龍子
11 蔦燃ゆる己れの蔓に絡まりて    高資
12 それからの大なる虚ろちちろ止む  ひろみ
13 木星を先達に名月昇り来る     浮葉
14 雲表に五本の指や十月尽      一彦
15 夕すすき小惑星の迫り来る     高資
16 梨熟れてバイオリズムの狂いだす  ひろみ
17 手さぐりに生き棘だらけ枯薊    浮葉
18 帰るさに後ろを向けば秋夕焼    一彦
19 どんぐりや夕陽の渦に吹き溜まる  高資
20 柿紅葉窓に「最後の一葉」めく   浮葉
21 秋蝶の夢の如くに老いにけり    一彦
22 幻のところどころに焼芋屋     硝子
23 俳諧を竟の住処と一茶の忌     直
24 地球儀と窓辺に吊るす唐辛子    英和
25 ドーナツの砂糖とびちり七五三   信之
26 晩秋の眠るピアノとテディベア   硝子
27 大根引阿蘇の地鳴りの低くして   直
28 秋冷や何はともあれ白ワイン    英和
29 手でさぐる寝ぼけラジオよ露けしよ 硝子
30 冬紅葉遠まはりせむ帰り道     信之
31 山茶花や宇宙は円き母心      直
32 短日や壁に貼り足すメモ用紙    信之

石田桃江さん
入選
1 音もなく空をうるほす鱗雲 
5 ただひとり降り立つ駅の鉦叩 
18 帰るさに後ろを向けば秋夕焼
27 大根引阿蘇の地鳴りの低くして
30 冬紅葉遠まはりせむ帰り道
特選
2 深呼吸吐ききってまた冬支度
冬を迎える準備をしているが、なかなか思うようにはかどらない。時々手をやすめ息を吐ききって深呼吸をして、また気合いを入れなおして続ける。あれもこれもと気がせきます。自分のことのようです。(Fax)

五島高資さん
特選
4 鳴く鳥の小春日和を畑に在る
一つには、小春日和の陽気に誘われて鳴いている鳥が畑にいると解釈されるが、あるいは、鳴く鳥の声を聞きながら作者が小春日和の畑にいるとも解釈される。ただ、「在る」とは、「いる」と違って、動かないものの存在に用いられることが多い。そうすると、小春日和の快適さがゆえに畑に留まっている小鳥と作者の場景が立ち現れる。そこには、小春日和によって鳥も人も同化する造化随順が感じられる。また、古代では「在る」が、人も動物も含めてその存在を表したことに鑑みれば、言葉の原初に遡ることによる詩性の再発見とも言える。そして、それはこの世に生きているという生命感覚へと敷衍される。
入選
1 音もなく空をうるほす鱗雲     
7 山茶花の一花一花の白い骨
21 秋蝶の夢の如くに老いにけり
27 大根引阿蘇の地鳴りの低くして   
31 山茶花や宇宙は円き母心

眞矢ひろみさん
2 深呼吸吐ききってまた冬支度
5 ただひとり降り立つ駅の鉦叩
7 山茶花の一花一花の白い骨
11 蔦燃ゆる己れの蔓に絡まりて
15 夕すすき小惑星の迫り来る
31 山茶花や宇宙は円き母心
特選 7
山茶花の清楚に見える白色は、骨の色だったのかと大胆な表現に感心しました。

鈴木浮葉さん
○2.深呼吸
◎9.山茶花の捨てる、、、、沢山の花びらを散らす山茶花。たしかにハート型の花弁。トランプのハートと見たのがユニークで面白い。
○11.蔦燃ゆる
○21.秋蝶の
○23.俳諧を
○28.秋冷や

松本龍子さん
・入選:1・5・15・27・32
・特選:11  蔦燃ゆる己の蔓に絡まりて
一読、永遠の「生命の火」を感じる。言葉のままに解釈すれば自分自身の蔓に巻き付いて離れない状態で、石垣に這い登り蔦が燃えるように紅葉しているという句意。「生きる実感」は自分という<蔓>を燃やしながら、それを導火線として「焔の乱舞」を見た瞬間にこそ起こるのだろう。

加藤直克さん
特選句:
15 夕すすき小惑星の迫り来る
最近、小惑星のベンヌ(直径500m)が西暦2300年までに地球と衝突する可能性が高まったというニュースが流れた。その確率は1750分の1だそうである。これを聞いて安心するか心配するかは人それぞれであるが、掲句の夕すすきは揺れ動く人の心をうまく景として捉えていると思われる。
11 蔦燃ゆる己れの蔓に絡まりて 
17 手さぐりに生き棘だらけ枯
21 秋蝶の夢の如くに老いにけり
24 地球儀と窓辺に吊るす唐辛子
26 晩秋の眠るピアノとテディベア

於保淳子さん】         
7 山茶花の一花一花の白い骨
23 俳諧を竟の住処と一茶の忌          
27 大根引阿蘇の地鳴りの低くして      
30 冬紅葉遠まはりせむ帰り道     
31 山茶花や宇宙は円き母心      
特選21 秋蝶の夢の如くに老いにけり
夢の如くに老いるとはどういうことでしょうか。秋蝶と老いが結びついて儚くて美しい世界を感じます。

服部一彦さん】  
入選:2,5,9,24
特選:22 幻のところどころに焼芋屋
   俳諧が開く「空」の世界を感得。

大津留直さん
特選句;24. 地球儀と窓辺に吊るす唐辛子
先ずは、地球儀と唐辛子の色彩と形態のコントラストが目に鮮やかに飛び込んで来る。やがて、その窓辺に吊るした唐辛子が、現に危機に陥っている地球の御守りのように思えてくる。作者の密かな祈りの声が聴こえて来る。
並選句: 7・11・25・26・30

森信之さん
1・6・15・17・22
特選句24
部屋に地球儀がおいてあり、窓辺にはまっ赤な唐辛子を吊している。天気の良い日には、青い空に唐辛子の赤がよく映える。穏やかな安らぎのある家庭の雰囲気を感じます。(Fax)

児玉硝子さん
特選:24 地球儀と窓辺に吊るす唐辛子
    地球儀の青と唐辛子の赤が印象的な絵画のような味わい。
1 音もなく空をうるほす鱗雲     
2 深呼吸吐ききってまた冬支度 
13 木星を先達に名月昇り来る
19 どんぐりや夕陽の渦に吹き溜まる 
25 ドーナツの砂糖とびちり七五三

朝吹英和さん
【選句】
5 ただひとり降り立つ駅の鉦叩        
15 夕すすき小惑星の迫り来る         
19 どんぐりや夕陽の渦に吹き溜まる    
21 秋蝶の夢の如くに老いにけり       
26 晩秋の眠るピアノとテディベア 
31 山茶花や宇宙は円き母心
【特選】
26 晩秋の眠るピアノとテディベア 
【短評】
晩秋の哀愁に満ちた時空が伝わって来る。