7月句会「結果」

  第93回 7月句会「結果」
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8月句会は8月7日(金)午後5時投句締切の3句以下出し

特選句 選評集


6.目に見えぬ手に撫でられてゐる青田(浮葉)
松本龍子さん評
一読、「アニミズム」を感じる。掲句の構造は<目に見えぬ手に撫でられてゐる>という「基底部」と<青田>という季語からなる「干渉部」に分かれている。稲の苗が成長して一面青一色なった田。そこに撫でるようにそよ風が吹き抜けていることで、一瞬の「生の輝き」を放っているという句意。この句には農家の労力の喜びと同時に、古代から森羅万象に「霊魂」が宿っているという思想が見えてくる。大陸から渡ってきた帰化人も同じ風景を見ていたのであろうか。
星人評
水田の上を吹きわたる青田風。その風の行方を追っていると、風が心の中に吹き込んだことを感じた。すると、風が目の前で見せてくれた「手ざわり」の正体に気が付いた。

12.軽鴨の列の残してゆくポルカ(星人)
石田桃江さん評
親の後をよちよち歩く軽鴨の子。残してゆくで余韻が伝わります。陽気に楽しく踊れるポルカとの取り合わせをいただきました。
森信之さん評
軽やかなポルカのリズムに乗って、カルガモの親子が列をなして歩く光景が目に浮かびます。

15.脚垂れて蜂がわが家を見て回る(一彦)
鈴木浮葉さん評
「足垂れて」で、スズメバチが思い浮かぶ。家のどこに巣を作ろうかと偵察している様子。不気味な気配がよくわかる。

16.ショベルカー掬ひ上げたり大西日(浮葉)
大津留直さん評
おそらく、今回の豪雨被害の現場で活躍しているショベルカーのアームが上がったり、下がったりするのを見ていると、たちまち、夕方になり大西日が差してきたのだろう。その大西日をショベルカーが「掬ひ上げたり」という措辞が断然光っている。
於保淳子さん評
暑さの中で土やコンクリートを運んでいた労働の1日が終わりに近づく。ショベルカーの力強さと大西日の日射しをダイナミックに表していると思います。

17.水打つて花の匂ひに気づきけり(龍子)
朝吹英和さん評
何気なく庭先に打ち水をした所、花の香りに気が付いた。日常生活の中で感じる一寸した潤いが自然に湧出している。

19.梅雨空に電灯の紐ぶら下る(星人)
五島高資さん評
まるで梅雨空が天上にして天井。その下を電灯が明るくする。天地人に共鳴する詩性。 

20.ディスタンスとる球場の月涼し(直克)
眞矢ひろみさん評
時事俳句ともいうべきかもしれないが、暗い世相のなか月涼しーのさわやかな印象に読む側も明るくなる。

23.闇弾く光の蜘蛛手遠花火(浮葉)
加藤直克さん評
漢字ばかりの句で、一読しただけでは景色が浮かんでこなかった。しばらくすると闇の中の遠花火が浮かぶ様子が見えてきた。その時間差に感心した次第である。句もイメージと音と含意が統一されていて素晴らしい。

24.黒南風の海より陣痛運びくる(直克)
服部一彦さん評
神秘的な宇宙との交感が如実。