6月句会「結果」

  第92回 6月句会「結果」
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7月句会は7月7日(火)午後5時投句締切の3句以下出し

特選句 選評集


7.老木の語りつくせぬ木下闇(直克)
朝吹英和さん評
強烈な夏の日差しを避けて鬱蒼と茂る木々の中に入ると眩暈を起こすような錯覚に陥る。木々の囁きや呟き、更には対話までも聞こえてくるようだ。「老木の語り」という擬人法が成功している。
眞矢ひろみさん評
木下闇とは、夏の強い日差しと、それに対応する影・闇の深さのコントラストであろう。老木の木下闇では、いくつもの物語が繰り広げられたに違いない。それは、相反するベクトルの均衡状態ともいえる。
大津留直さん評
作者は木下闇に坐って、只管老木に耳を傾けている。すると、老木が言葉にならぬ言葉を、次から次へと発しているのが聴こえ、そこから、このコロナの時代を生き抜く勇気を貰っている。限りない共感を抱かせられる。

15.二重虹息止めたまま消えにけり(直克)
石田桃江さん評
目のさめるような美しい虹を見た。それも二重の虹。それは息止めたままでの短い時間であった。ひときわ感動が伝わります。

18.天辺に西方見遣るかたつむり(ゆう)
森信之さん評
かたつむりは自分ではないかと思われます。西方浄土とはどんなところかなあ、と思い浮かべている。自分をみつめているようです。

19.風鈴の風に色ある甲夜かな(一彦)
五島高資さん評
風鈴の音色を聞き分けている感性の鋭さが感じられる。夏宵鈴音直千金か。

21.太古より死は賜るものぞ青嵐(英和)
松本龍子さん評
一読、「諦観と受容」を感じる。最近自分の身近な大切な人が亡くなることで自分の死を含めて覚悟をする気持ちが強くなっている。人間は個人として生まれ、成長してやがて死を迎える。その生は太古より先祖から引き継がれ少しずつ進歩をしながら、同時に自然の物質の「循環」の中へ戻ってゆく。中七の<死は賜るものぞ>は作者の半ば「諦め」と同時に、自然の摂理に対する峻厳な「受容」を表している。永遠から来た我々は永遠に還ってゆくだけだから、単に終わるわけではないのだという、思いが滲み出している。

27.夭折の詩人の一句若葉闇(直)
於保淳子さん評
若者の新鮮な句なのでしょう。爽やかな感動とその死を惜しむ気持ちを感じます。
星人評
「若葉闇」の斡旋が見事。まず「若葉時」「若葉雨」「若葉寒」ではない。だからといって「青葉闇」でもない。近いのは「若葉蔭」だがそうではない。「若葉闇」だから嵌まる。この季語の持つ温度だけが上五中七を支え、詩を生む。

29.螻蛄鳴けば風の断面だけ潤む(星人)
服部一彦さん評
感覚を研ぎすましてこの世界を満喫する、この楽しさ。

32.優曇華や沖に傾ぐは未来都市(星人)
加藤直克さん評
優曇華は植物もあるようだが、草蜻蛉の卵のイメージが強い。林立する細い糸の先に卵が一つずつ付いている。それが未来都市を連想させるのであろう。しかしそれは沖へと傾いでいる。自然の威力、時の力の前にうなだれるかのように。
鈴木浮葉さん評
未来都市は、海市、蜃気楼なのでしょうか。未来はすでに傾いているのか。コロナの今、優曇華は凶兆。優曇華、沖、未来都市、カメラがパンするようにどんどん視野が広がるのが気に入りました。