5月句会「結果」


  第91回 5月句会「結果」
5月句会結果.jpg
6月句会は6月7日(日)午後5時投句締切の3句以下出し

特選句 選評集


14.花水木トレモロ光るヴィヴァルディ(直克)
朝吹英和さん評
ヴィヴァルディの溌溂とした音楽、取り分け弦楽器のトレモロが春の陽光に煌めく。沢山の花が密集して咲く花水木のあしらいがトレモロの響きと共鳴する。

15.大空に初夏の兆しや木遣唄(信之)
於保淳子さん評
木遣の賑やかな明るい声と大空が、共にのびのびと感じられ、これからの季節への期待が高まります。

17.時間からかくれんぼして夏霞(龍子)
五島高資さん評
霞がかかると景色は時の移ろいによって見えたり見えにくくなったりする。ほんとうは霞による空間的な遮蔽なのだが、掲句のように時間によると捉えた発想の転換が面白い。そこにダイナミックにして絶妙な俳味がある。

18.目を洗う朝な夕なの若葉色(桃江)
星人評
花の後は若葉。数え切れないほどの色彩があふれる初夏。詩を拾う気持ちがあれば、見えてくる色が数多くある。「目を洗う」とは心を洗うことだ。

21.マドンナのマント真青や聖五月(浮葉)
眞矢ひろみさん評
マドンナもマントも実在ではなく、青いマントを着たマドンナの人形又はモデルの類が聖五月の季と響きあうと読みました。マントは通常冬の季語ですが、その大胆さに驚きました。

22.大いなる宇宙を桜ふぶきかな(星人)
大津留直さん評
コロナコロナのこんな時であるからこそ、このような句を選びたいと心底思うのは、なぜなのだろう。これは単なる現実逃避ではなく、むしろ、コロナもこの桜ふぶきの一つとして認めた上での達観であると思いたい。

24.ウイルスと共に翌なき春を生く(高資)
森信之さん評
いつ終息するかわからない相手。共に乗り越えようという気持が伝わってきます。

25.五寸釘残る社や楠若葉(浮葉)
加藤直克さん評
五寸釘と楠若葉という取り合わせ。まがまがしきものとすがすがしきものが社という場にこともなげに共存している。ということでこの句の中心は、両者の間にいてただ静寂をもって応える社である。日本古来の神の姿がここにある。

27.風音の雑木を抜けて立夏かな(淳子)
石田桃江さん評
若葉青葉の雑木林を歩くときのここちよさが伝わってきます。風音・抜けるにより夏に入る季節の移りが感じられます。

32.風甘くする矢車といふ呪文(星人)
鈴木浮葉さん評
金のポール、矢車、吹き流し、この家に男の子生まれたよーの、神様に対するアピール、というか、目印。これ以上、災いが無いよう、祈る。矢車は四方八方から幸せが来ますようの願い、魔除なのかな、矢は、武士のアイテム。風甘くする、のフレーズが気に入りました。
服部一彦さん評
人生の諸々の痛苦をしばし弛緩させる風―矢車という装置。風よもっと吹け。
松本龍子さん評
一読、龍と化す鯉が見えてくる。<風甘くする>とは何か。矢車は風を受けるたびに「カラカラカラ」とやさしい低音を響かせているという句意だろうか。中国の六朝時代から「端午の節」には病や災厄を祓う祭儀が行われていた。江戸中期の町人階級から男児の出世健康を祈願して、武具に代えて鯉幟を戸外に立てる風習が生まれたらしい。「祈り」が単なる言葉だけでなく、<矢車>の形になることで<呪文>のような「歌」という表現になったということだろう。