4月句会「結果」

  第90回 4月句会「結果」
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5月句会は5月7日(木)午後5時投句締切の3句以下出し

特選句 選評集


3.神獣鏡を鍛へし漢春霰(英和)
眞矢ひろみさん評
神獣鏡を制作した職人たちのエートス、心持ちは想像するしかありません。「春の祭典」のごとく、神と生命への畏怖と賛美に充ちたものだったに相違ないと思います。

5.永遠にゴドーを待ちて桜闇(浮葉)
松本龍子さん評
一読、「底なしの不安」を感じる。<永遠にゴドーを待ちて>とは何か。『ゴドーを待ちながら』はサミュエル・ベケットの傑作戯曲。<ゴドー>は「神様」とも「希望」とも、観客に委ねられている。現状の世界はコロナウィルスへの収束を祈るように待っている。老人、貧困者への命の価値が差別化されている。待つ間に見えてくるのは「生のあやうさ」という「うつろう時間」だろうか。<桜闇>は花のもつ明暗の陰の部分、空間を象徴している。

6.根の国の声ひそやかに花の闇(浮葉)
大津留直さん評
新型コロナウイルスが人類を襲っているこんな時だからこそ、われわれは「根の国」からひそやかに聴こえてくる声に耳を傾け、われわれに課せられている真の課題とは何かを問わなければならない。そうでなければ、われわれは見かけ上の勝敗に振り回され続けることになる、という警告を作者は花の闇から聴いているのだろう。

7.春の風大門押せば灯りけり(ひろみ)
加藤直克さん評
大門とはなにを指すのだろうか。いろいろな連想が浮かぶが、思い切ってコロナ禍と受け取ってみたい。すると大門とは先の見えない庶民の不安ということになる。春の風という大きな自然の力がコロナ禍を鎮め、心に明かりを灯してほしい、そんな祈りの句にも読めたのである。

8.とろみある大気を纏ふ花の闇(浮葉)
五島高資さん評
「花の闇」とは不思議な言葉である。「花の陰」ならば、桜の花木自体の蔭となるが、あくまで「花の闇」なので桜の花それ自体が持つ暗がりということになる。光が届きにくい花の一部分のみならず、そこに仮託された作者の思い、例えば春愁など、色々と想像が膨らむ。もちろん、そんな暗がりを包むような空気を体感的に捉えた作者の感性の鋭さと優しさが前提にあることは言うまでも無い。

13.生も死も瞬きにして風光る(直)
朝吹英和さん評
一瞬一瞬の時の流れに吹く風に春の兆しを実感した。
生きる喜びとは死の裏返しである。

14.忘らるる慰霊の灯り春の海(信之)
星人評
東日本大震災の被災の海。残念ながら忘れ去られる風潮にある。被災地に生きる人々の日常は、大切な人を悼む日々だ。ささげられる灯りは、亡き人への感謝の思い。命日の3月11日だろうが次の日だろうが、いつもと変わらない慰霊の一日にほかならない。

27.咲き満つる大桜より水の音(星人)
於保淳子さん評
水の音はどこから聞こえるのか、桜の大木の向こうの川かもしれないが、桜の木の幹かもしれない。満開の大桜が大地から水を吸い上げている生命力が伝わってきます。

30.春昼の土間はどかんと閑かなる(直克)
服部一彦さん評
「どかん」は充満した形容。蘇る風景の好さ。

31.水音に水音生まれ青き踏む(直克)
森信之さん評
童謡「春の小川」を想い出しました。
春の小川の水の流れる様子が目に浮かびます。
春の小川は さらさらゆくよ
岸のすみれや れんげの花に…
石田桃江さん評
春の足音が聞こえて来ます。
水の音に野の青草の上を歩いていると
閉塞感が解放されます。

33.昇りゆく一片のあり花ふぶき(星人)
鈴木浮葉さん評
琵琶湖竹生島神社の下から湧き上がる花吹雪を思い出しました。