2月句会「結果」

  第89回 2月句会「結果」
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3月句会は中止します。
4月句会は4月6日(月)午後5時投句締切
3句以下出しです

特選句 選評集


1.寒椿大きく咲いて汚れけり(一彦)
大津留直さん評
一読、万物の栄枯盛衰を愛惜しているような句の響きに感動した。特に、一切の説明を排し、「汚れけり」と言い切っているところに俳句の真髄を見る思いがした。

11.吾を追ふは我が足音か雪女(ひろみ)
松本龍子さん評
一読、直観的な<存在>を感じる。<雪女>とは人智を超えた自然への畏怖の念が生み出した先人の心象風景としての象徴なのだろう。しかし『遠野物語』に描かれている世界は遠野で起きたリアルな世界なのだ。東日本大震災で「あいまいな喪失」を抱えたタクシー運転手が「幽霊」を乗せた記憶を大切にしているという。「見えないものを見る眼」とは個人的なものだから、この表現は腑に落ちる。

13.美しく人の呆けゆく枯芙蓉(ひろみ)
服部一彦さん評
醜くとしなかったところに慈しみと愛情とが深く伝わる。

20.独房に鑢(やすり)のごとく寒月光(浮葉)
加藤直克さん評
特異な情況が目に浮かぶ。鑢はまさに冤罪への怒りと脱獄への思いの象徴なのであろう。それが寒月光という景に収斂してしまっているところに深い絶望と悲しみが現れている。なかなか目にすることのない得意な句であるが、心に迫る句である。

21.草の芽のきらきら運ぶ回覧板(桃江)
星人評
春の光のなか隣の家まで回覧板を届けた。
ただそれだけの時間を詠んだのだが、
まるで草の芽が回覧板を運んでいるように読める。
何の誇張もない「きらきら」の表現が心にひびく。

22.大根やしみじみ母性ある白さ(浮葉)
真矢ひろみさん評
風呂吹などの、あのほのぼのとした「白」に
郷愁の母を重ねる

25.あかときの氷柱の放つ光かな(直)
石田桃江さん評
鉱物のような神秘なかがやきを放つ氷柱。
あかときだからこその表現だと思います。

28.日のさして雪解浄土となりにけり(星人)
於保淳子さん評
積もった雪が日の光で解けていく。
現れた浄土はどのような景色だったのでしょうか。
心も温かく解かされていくように思えます。  

29.末黒野のベテルギウスの暗さかな(星人)
朝吹英和さん評
オリオン座の1等星ベテルギウスの明るさが
昨年秋から減光して遂に2等星に陥落したと聞く。
いずれは爆発するのではとの見方もあるが、
野焼した後で闇の深い原で仰ぐベテルギウスへの思いが
読み手に伝わって来る。季語の斡旋が見事。

30.金星のかたへに尖る木菟の耳(星人)
森信之さん評
冬の夜空に一際きわだって輝く金星。そしてその
そばに木菟の耳。とても幻想的で夢のある句で
楽しくなりました。

31.水音を連れ帰る子や猫柳(ゆう)
五島高資さん評
猫柳は水辺に多いため、もちろん水とは縁が深い。しかし、あくまでも帰宅した子に水の音を聴き取った感性が鋭い。中七までと下五はあくまでも切れているから、色々と場景が思われて詩情も深まる。

32.起動せぬ画面の中を涅槃西風(ゆう)
鈴木浮葉さん評
んー、涅槃西風、浄土からの迎え風が吹いて
いるなら、もう、このパソコン、ご臨終かも。