1月句会「結果」

  第88回 1月句会「結果」
1月句会結果.jpg
2月句会は2月5日(水)午後5時投句締切の3句以下出し

特選句 選評集


3.明星や大海鼠より泡ひとつ(星人)
真矢ひろみさん評
星と泡の配合、衝撃、可笑しみ
二つの事項の関連が薄いほど、理性は関係を追い求め
暴走を始めるのだろう
五島高資さん評
閑かな早暁、ひとつの泡に海鼠の生命が収斂される。
折しもの明星がその生命とうまく響き合っている。

4.初富士や背骨を昇る炎あり(高資)
朝吹英和さん評
初富士を仰ぎ見た感興と新しい年への力強い決意
表明が感じられる。
石田桃江さん評
新年を迎えて仰ぐ富士とこころの中の
燃え立つような感情が伝わります。

9.煮凝りの中にも津波映りたる(龍子)
服部一彦さん評
自分はいまは平穏平和な環境に居ると思っている。
しかし深層ではあの忌まわしい記憶から
いつまでも離れられない、と受け取った。表現が巧み。
星人評
津波という非日常の影が煮凝りの中に映る。
煮凝りを前にすると津波の記憶が甦るのだろう。
あのかすかな揺れがスイッチなのだろうか。
もしかすると煮凝りは日常と非日常の境に
位置している存在なのかも知れない。

13.御下がりやしずしず急ぐ救急車(一彦)
加藤直克さん評
「御下がり」であるが、正月三が日にふる雨や雪ということで、「御降り」のことと解釈した。救急車であるからもちろん急がねばならないのだろうが、「しずしず」に普段とは違う雰囲気がよく現れている。雪が降っていて速くは走れないということなのであろうが、状況と雰囲気をよく伝えていると感じた。

18.朝の庭日差し寿ぐ初雀(桃江)
於保淳子さん評
穏やかな正月の、明るく平和な朝の雀のさえずり。
平凡ながらもその幸せ、うれしさを感じます。

24.鶴のこゑほどけて雪となりにけり(星人)
大津留直さん評
雪が降る直前程、寒さが極端に感じられ、雪が降って来ると、その寒さが少し緩んだように感じられる。凍て鶴の声はその極端な寒さを象徴しているという作者の詩的直観からこの句は成立しており、読者を共感させる詩的な説得力が感じられる。漢字を鶴と雪の二文字に限っていることにも共感させられ、仮名文字の「ゑ」がほどけて雪になるところにまで、想像力を及ぼさせる。
森信之さん評
鶴の声が雪の中にとけこんでいく
といった、静けさの中にほっとした
やすらぎを感じます。

28.丹頂の赤は岡本太郎の赤(星人)
鈴木浮葉さん評
井の頭線渋谷駅改札を出たところの通路に、
岡本太郎の「明日への神話」という、大きなレリーフがあります。
赤が印象的です。あ、丹頂の赤かもしれないな、と思いました。

30.息の矢を凍鶴天に放つかな(直)
松本龍子さん評
一読、雪の中に凍鶴の声が響く。掲句の情景は凍鶴が天に向け鳴く一瞬を再現したものだろう。このデフォルメされた空間表現は劇画的だが、瞬間の作者の心の動きが現れている。この「生命の横溢感」は鳴いているのではなく、歌っているのかもしれない。<息の矢>を放つには雪の中の冷気をたくさん吸うことで歌わないと<心に響く歌>にならないから。