12月句会「結果」

  第87回 12月句会「結果」
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新年1月句会は1月8日(水)午後5時投句締切の3句以下出し

特選句 選評集


5.少しずつ雑草抜いて年歩む(龍子)
石田桃江さん評
12月の日常生活を表した句でしょうか。
雑草はたくましいので、手を抜くとたちまち厄介な事になります。
継続することの大切さを改めて思いました。

6.目を閉ぢて焚火とむかふえにしかな(高資)
森信之さん評
焚火といっても子供の頃の記憶しかありません。
目を閉じると、そのとき焚火をした様子が思い浮かびます。
遊び友達や近所の様子等いろんなことを思い出します。

10.初雪や逝きたる後のわれと聴く(直)
加藤直克さん評
「初雪」は今年はじめて出会う雪である。しかし去年も出会ったし、生きながらえることが出来れば来年も出会うであろう。「初雪」の「初」とは何か。今生の命として現れる永遠の今と言ってよいであろう。仏教では、如今といったり而今と言ったりする。とすれば「逝きたる後の我」とは「如今の我」であり、空海はそれを「同行二人」という言葉に託したのであろう。
於保淳子さん評
初雪なので、降ってはすぐ儚くも融けてしまう。
その儚さと自分を重ねているように感じます。

16.大根干し日に息づける土塀かな(高資)
服部一彦さん評
季語と中句以降のつり合いが
まことに心地よく感じられました。

17.初雪は海峡渡る蝶のこゑ(星人)
松本龍子さん評
一読、闇の中から白い雪が見えてくる。<初雪>はその年の冬初めて降る雪。中七の<海峡渡る>は南西諸島、台湾だろうか。それとも安西冬衛の「韃靼海峡」だろうか。問題は下五の<蝶のこゑ>をどう解釈するか。蝶の翼の空気を打つ音、浪の音、潮風、マラソン選手のような呼吸の音、東日本大震災の死者の声かもしれない。津波は泥の水になり、空へ昇り、やがて<初雪>となる。初雪の降るかたち、音に無音であるはずの<蝶のこゑ>にアナロジーを発見したのは新鮮で意外性がある。

19.初雪の先端にある痛みかな(龍子)
真矢ひろみさん評
南国に生活する自分にとって、子供のころから雪は
浪漫、あこがれの対象であった。雪国に生活する方
とは逆であろう。311の翌朝であったか、被災地で
霙のような雪が降っているテレビ画像を思い出した。

21.凍星の灯れる窓に病みてをり(直克)
鈴木浮葉さん評
今、主人が入院中なので、この句が心に滲みました。

22.外套の賢治の肩に星生まれ(星人)
大津留直さん評
そう言われてみると、写真の宮沢賢治は、よれよれの外套を着ているものが多い。それはよれよれであるにもかかわらず、ある種の圧倒的な暖かさと人間味を感じさせる姿であり、そこに作者は、生まれたばかりの星を見たのであろう。

23.ちちろからちちろに遷るしらべかな(直克)
五島高資さん評
ちちろの鳴き声を聴いているのは確かに人間だけではない。
むしろ、それはちちろに届くのが本来である。
自他はもちろん自身に帰る調べは
まさに「往きて帰る心の味わい」である。
星人評
ちちろの声が隣のちちろの中に消えてゆく。
さらに、隣に隣にと声がつながって聴こえてくる。
つまり作者は、寝床で聴いているのではなく歩いている。
それも庭に面した長い廊下を。
歩くことで多くのちちろの声をつなげた。
歩くという行為は人間の原始的行為。
その行為の心地よさを暗示している。

24.繰り返し時間を洗ふ冬の波(浮葉)
朝吹英和さん評
無常に流出する時間を洗う存在として無窮動で
冷たい冬の波が相応しい。