2月句会「結果」

  第77回 2月句会「結果」
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3月句会は2月28日(木)午後5時投句締め切りの2句出しです


特選句 選評集

4.豆撒きやどうする身内の天邪鬼(浮葉)
【森信之さん評】
思わずニヤリのユーモアあふれる句。「どうする身内の」の
表現が実に面白い。そもそも俳句とはという忘れかけていた
ものを呼び起こされたような思いがします。

7.非常口の人形左へ春隣(一彦)
【加藤直克さん評】
非常口が標示が光るのはたいてい暗いところである。
その非常口の外には春が迫っているという季節感が歌われている。
暗さと明るさの対比を気づきにくい日常に見つけた感覚の鋭さを多としたい。

9.梟を背負って山を降りるかな(基道)
【松本龍子さん評】
一読、底知れない闇に梟と人の声が響く。人生を山登りに喩えるならば
定年を迎えた人にとっては、これからどう「下り坂」を降りていくかが
課題だが、そこで避けて通れないのが親の「介護」の問題である。
この句は梟のような親を背負って下山をしていかなければならない、
作者のふっと出た溜息なのかもしれない。
「どうかご自分の精神と身体をお大事に」と祈るばかりである。

13.裸木の立つや金星狩るために(ゆう)
【阪野基道さん評】
冬枯れの高木がシルエットとなり、
金星に触れようとしています。
触れることは「狩る」こと。
裸木の静かな生命力が、
天空を大きく揺らしているようです。

14.日の重さのせうすらひのまはりけり(星人)
【鈴木浮葉さん評】
あえかなるものの取り合わせで美しい。
こういう風景、こういう句に出会うために生きているのかもしれない。

【朝吹英和さん評】
薄氷の景から寒さの中で太陽の恵み・日差しの有難みが実感される。

【服部一彦さん評】
光の重力とまで言わないまでも、日光と薄氷との
微妙なかつ確かな交感。季節の詩情の確かな描写。

【五島高資さん評】
薄氷はもちろん日光による熱によって解けつつ回っているのだろう。
そこに当たった陽光に「重さ」を発見。それは、単なる日光の熱量を超えて
寒々とした日々という時間性も加味されている。 

15.耳と化し潮騒を聞く海鼠かな(ゆう)
【加藤昌一郎さん評】
現物を突きつけられたような存在感。
ミケランジェロ以上の堂々たるリアリズム。

【於保淳子さん評】
海辺の水底でじっとしている海鼠は実は潮騒を聞いていたのですね。
ユーモラスでまたなるほどと思いました。

16.春寒や壺の破片を入るる壺(星人)
【大津留直さん評】
この句からは、壺の中へ壺の破片を入れるときの音が春寒の澄んだ空気を
振動させて響いて来るのが聴こえてくる。俳句が詩の破片をかりそめに入れる
器であるとすれば、句作とは、そのような音を響かせることにほかならない。
その音色が、季節によって、状況によって変わって来ることを楽しみながら、
その音を響かせているのである。

19.雪間からめくれはじめるカットバン(龍子)
【石田桃江さん評】
春になり山の雪がとけていく様子を
カットバンがめくれはじめるとした表現に意外性があります。
山肌をおおい保護している積雪と、
肌をおおい保護しているカットバンの
同じ役割が伝わります。

20.てふてふと下山してゐる良寛忌(龍子)
【真矢ひろみさん評】
忌日俳句の作り方を教わったような気がします。

【星人評】
良寛さんは、旧の正月六日が忌日。
今年の新では結果発表の2月10日に当たります。
その頃の陽射しは良寛さんのイメージにぴったりです。
「てふてふ」はその陽射しを表しているのでしょう。
上五中七の比喩と忌日を組み合わせることで、
景色が立体的になり、心理的な重層性も見えてきました。