12月句会「結果」

画像


※次回2014年1月句会は2句出しで
1月6日(月)午後5時投句締め切りです
選句は13日までの1週間です


 
特選句 選評集




2.退ける一歩ののちの絵踏かな(直)

【加藤昌一郎さん評】
当時の庶民にとっては、
役人の前で何かを行動をすることだけでも大きな
心理的な負担はあったろうが、もし隠れ信者だったら。
いや隠れシンパだったとしても
絵踏みへの懼れは大きかったろうと思う。
現代人に比べれば彼等を取り巻く生活の中での
神仏への信仰心は大きかったろう。
とにかく邪神であるにしても、
神様というものへの拘りは大きかった。
信仰者やシンパではなくても、
神様かもしれない物を踏むには
蛇を踏まされるくらいの気味悪さはあったと思う。
「躊躇いし一歩」ではなくて懼れに「退ける一歩」
だったのが実感だったと思う。
踏む前の足の裏から臍あたりまで響いた
厭な感じが面白い。




6.ここに俺ここに勤労感謝の日(雅城)

【石田桃江さん評】
自分自身への、働く人への応援歌。
元気の出る力強い句だと思います。
ひらがなの“ここに”の表現が
想像を膨らませてくれます。
旧憲法では、その年の収穫を祝う宮中新嘗祭に
因んだ休日とされていた事を改めて知りました。



【星人評】
主格を韜晦してこそが俳句。
その暗黙の了解を笑い飛ばすように
「俺」を独白調で主張しています。
勤労感謝の日の俺しか語っていないようですが、
ふたつの「ここに」を手掛かりに読むと、
社会の中での俺の存在理由を問うている
ことが分かります。新鮮な一句です。




7.末枯やゴッホの燃やす日の沈む(英和)

【加藤直克さん評】
祈りと嘆きと執念の入り交じった凄絶な句である。
ゴッホの絵としては「カラスのいる麦畑」が
思い浮かぶが、色彩的には「赤い葡萄畑」かとも思う。
しかしこの句に
絵を登場させる必要はないのかもしれない。
むしろゴッホに自分の人生を重ねてはじめて
吐露される真情なのだろう。




8.影あるはみな滅ぶもの冬木立(浮葉)

【大津留直さん評】
夕陽が作る冬木立の長い影を見ていると、
どこからか「影あるものは皆滅ぶのだ」
という声が聞こえてきたのだろう。
しみじみとした句である。




11.瓢箪や眠りに落ちる水の音(高資)

【朝吹英和さん評】
滴り落ちる雨の雫や川の流れなど
水の音にも様々な態様があるが、
その水の音がデクレッシェンドして
やがて眠りに落ちる時空の中で
密やかに息ずいている瓢箪との交流が感じられた。
静謐な世界に惹かれる。




14.一山をレムに眠らせ冬の月(ひろみ)

【鈴木浮葉さん評】
レム睡眠は夢をみる睡眠状態。
体は眠っていても脳は動いている。
冬山は春を夢みて(本当は着々と春の準備をしつつ)眠る。




【石川順一さん評】
季語は「冬の月」でしょう。「山眠る」はあくまで
季語に従属する内容的なものだと思いました。
レム睡眠は最も夢を見易く、レム睡眠期間中に
目覚めればその夢を覚えて居る可能性が高い。
急速眼球運動を伴う睡眠Rapid Eye Movementから
来ています。外見的には眠って居るのに脳は
覚醒状態にある。私は山を擬人化したのかなと
思いました。そこに俳諧味があると思ったのです。
季語の「冬の月」がまるで眠らせた首謀者で
あるかのように読めるのも魅力的だと思いました。




15.秋蝶が人を数へてゆく真昼(星人)

【服部一彦さん評】
そうだったのか。
秋蝶は死んだ人をチェックしていたのか。
それとも次は誰だと見当つけに来たのか。
星新一のショートショートを思い出させる。
それとも特定秘密保護法か。




16.シリウスやマンモス射んと鏃研ぐ(星人)

【五島高資さん評】
古代の石鏃にインスピレーションを得ての感興か。
マンモスでさえ遠い昔の彼方なのに、
そのまた遥かなるシリウスへと向かう
時空的な詩境の広がりに共感した。
高資さんのブログへ


23.蒼天の水を破らず雁の影(直克)

【高橋雅城さん評】
雁、しかもその影が「水を破らず」というところが、
厳しく澄みきった冬の空と冬の水面、
そしてやがて豹変するやもしれぬ静かな冷気さえをも
表しているようだと思いました。
非常に落ち着きのある句であると思います。




27.西口に人を吸い込む冬銀河(高資)

【真矢ひろみさん評】
西口に人を往生させる冬銀河があるのなら、東口には人を
惑わし、鬼畜として排出する歌舞伎町があってもよいでは
ないか・・・と読みを楽しむ。



【松本龍子さん評】
一読、マウリッツ・エッシャーの錯視絵を思い浮かべる。
西口の地下に帰宅を急ぐ人たちが吸い込まれていく。
ふと見上げると冬の澄み渡った夜空に、
帯状に横たわる川に無数の星たちが煌いている。
まるで今、地下に消えた人たちが星になって現れてきたようだ。
もしかすると西口は、天空に通じる入り口なのかもしれない。
清々しい詩魂を感じる一句。





ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

画像 【おすすめ句集】 秦夕美さん『さよならさんかく』、中西夕紀さん『くれなゐ』、 蓬田紀枝子さん『黒き蝶』を読んでみてください。(星人)