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12月句会「結果」ふたご座流星群すごいすごい凄い

2017/12/13 19:07
  第63回 12月句会「結果」ふたご座流星群凄いすごい
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皆さま、今年一年ありがとうございました。来年もご指導よろしくお願いします
1月句会は1月8日(月)午後5時投句締め切りの2句出しです


特選句 選評集

1.七五三の宮にて痛いほどひとり(浮葉)
【森信之さん評】
自分の気持ちをそのまま表現していて
“痛いほどひとり”にその全てが凝縮されている。

3.知に色気あり文殊仏冬の寺(浮葉)
【加藤昌一郎さん評】
「知に色気あり」といふフレーズに魅せられた。醍醐寺の獅子に乗った文殊の
お顔は、智恵そのものの清潔な一種の少年の色気があるようだった。

8.冬ざれや筑波の残光尖りゆく(直克)
【阪野基道さん評】
季語「冬ざれ」に「筑波の残光」を取り合わせると、太古からの神々しさを
生み出すように感じられます。しかも、その残光が、残光であるが故に
鋭く尖り始めると、大きな時間が息づいているようで、美しい。

9.星空より駆けて来たりし大白鳥(龍子)
【於保淳子さん評】
夏空の白鳥は冬には舞い降りてくるのでしょうか。
羽を広げた白鳥の姿が目に浮かびます。

16.どこまでも螺旋階段冬の虹(基道)
【大津留直さん評】
冬という季節の厳しさがそうさせるのか、それとも、冬の虹自体の
かそけさがそうさせるのか、冬の虹には到達不可能というイメージが付き纏う。

20.水底の旅の終りの白落葉(一彦)
【加藤直克さん評】
白落葉という言葉をはじめて目にしたが、水底にあればこそそのように
見えたのであろう。それを「旅の終わりの」と言い得たところに感銘を覚えた。
落葉は褐色で、それが葉の命の終わりを意味するわけだが、水に流れて白くなるとき、
それは生死を透脱した姿とみることもできる。生死を透脱したものこそ、みずから
願って再び生死の中に身を躍らせるとすれば、それが命のまことなのであろう。

22.冬ざるる老舗旅館の燐寸かな(英和)
【鈴木浮葉さん評】
今時、マッチ!だからこそ老舗旅館の冬。
時代に乗り遅れた淋しさ、毅然とした誇りが見えてくる。

24.初時雨九曜の紋のなびきけり(信之)
【星人評】
九曜の紋は、仙台の伊達氏の家紋。
仙台は今年、政宗公生誕450年でにぎわいをみせました。
これは街路灯のタペストリーの靡き。初時雨と旗の靡きが
詩的に呼応して美しい俳句空間ができています。

27.大鍋にびつくり水をさせば雪(星人)
【服部一彦さん評】
取り合わせが魅力的だがそれは二の次。この書き込み方によって人間がいかに
季節の中で生活しているかがさりげなくまた如実に判るのがいいと思いました。

【石田桃江さん評】
煮えたぎった湯にびっくり水をさすと、
大鍋のなかに一瞬きらきら輝く銀世界を見た。
斬新な発想をいただきました。

28.鶴唳のちらばつてゐる虚空かな(星人)
【朝吹英和さん評】
冬空を渡る鶴の声が聞えたのか、或いは北風に抗う鶴の声の
幻聴なのかも知れない。中七の措辞がユニークで効果的である。

【松本龍子さん評】
一読、直感的な詩情を感じる。鶴の鳴き声を聞いた敗残兵が敵兵かと思い
驚き恐れたという故事から、 おじけづいた人がわずかのことにも恐れおのの
いている声がちらばっている大空であるという句意。現状の日本人の米国への
従属と北朝鮮問題への不安と恐怖がオーバーラップして透けて見えてくるが、
作者の潜在意識、「心の動き」と考えると生への「漠然とした不安」なのかもしれない。

【五島高資さん評】
冬の大地と冴え渡る空が目の前に広がる。鶴唳を散らばると見て絶妙。
いっそう虚空が極まる。

30.一本の杭にためらふ冬銀河(ゆう)
【真矢ひろみさん評】
大いなる個性、不遇など社会性と
蕭条たる自然という古典的?な
取り合わせですが、ひかれました。


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12月句会「選句」

2017/12/03 11:52
6句選、そのうち1句が特選
特選句に短評を付してメールで返信のこと
12月10日(日)午後5時締め切り

1 七五三の宮にて痛いほどひとり 
2 さざんかやにぎわす演歌文化祭 
3 知に色気あり文殊仏冬の寺   
4 もちまきの秋天よりの恵みかな 
5 ホチキスに玉を込めたり星月夜 
6 おのが色空にはふりて散る紅葉 
7 天狼やムー大陸の浮くあたり  
8 冬ざれや筑波の残光尖りゆく  
9 星空より駆けて来たりし大白鳥
10 龍淵に潜み地酒の辛さかな
11 襟巻のおこじょや歩々を弾ませて 
12 狐火を咥えてひかる髑髏の眼 
13 生まれくる顔は寂色冬ともし   
14 一条の陽の光芒や冬の塔    
15 風鈴を闇夜にしまい雪蛍     
16 どこまでも螺旋階段冬の虹    
17 鳩くぐる高圧線の冬の音     
18 嬉しくも悲しくも糸瓜ぶら下がれ
19 青氷柱夢の香気に目覚めけり  
20 水底の旅の終りの白落葉     
21 茄子の馬ではるばると来た冥王星
22 冬ざるる老舗旅館の燐寸かな   
23 秋惜しむやうに山寺影のばす   
24 初時雨九曜の紋のなびきけり   
25 柚子の実を空に散りばめ道ひとつ
26 ランナーの過ぎし湖岸や冬に入る
27 大鍋にびつくり水をさせば雪
28 鶴唳のちらばつてゐる虚空かな
29 大空の一片として白鳥来
30 一本の杭にためらふ冬銀河

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11月句会結果

2017/11/10 18:49
  第62回 11月句会「結果」
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※次回12月句会は2句出しで
 11月30日(木)午後5時投句締め切り
 選句は12月7日までの一週間です

特選句 選評集

1.芒原モーセの海の現るる(ゆう)
【阪野基道さん評】
言葉の美しさに惹かれました。芒の波立つ広大な原野と、モーセの海との
取り合わせがダブルイメージとなって、句に重層感を与えています。
この句の彼方にあるのは「モーセの十戒」ではなく、
「朧な不確定な世界」のような気がします。

2.大仏のてのひらにゐる穴惑(星人)
【松本龍子さん評】
一読、不思議な詩情を感じる。言葉のままに解釈すれば、大仏の掌に
彼岸が過ぎても穴に入らない蛇がいるという句意。おそらく掲句は想像の
句だろう。だとすればこの蛇は作者の分身なのかもしれない。俳句だから
こそ、巨大な大仏の掌に蛇に変身して眠ることもできる。下五には別の季語
が入ってもよさそうだが、分身としては「穴惑」がふさわしいのだろう。

【森信之さん評】
もうそろそろ穴に入ってもいい頃なのに未練がましく
あきらめきれずさまよっている蛇と私自身が
どうしてもかぶってしまう。

3.たたら場の水に生まるる白鳥座(星人)
【真矢ひろみさん評】
夜空と金属的な物との取り合わせは
これまでにも事例は多々あるが、
たたらと白鳥座というところに
魅かれた。

【五島高資さん評】
古代製鉄には火はもちろん水も必要。また、焼き入れの際、
水から出る鋼と白鳥座とが詩的に共鳴する。

20.あきらめてのちの光を秋簾(直克)
【大津留直さん評】
本当に自分を救う光は、自分には救いなどないとあきらめたとき、
初めて、実は、自分の心のうちにすでに灯っていたことに
気付かされるものなのかもしれない。用済みとなって、
ほって置かれている簾を通して差してくる光のように。
秋簾に成りきることによって見えて来る光を詠って見事である。

23.人間や地より立ちたる秋の虹(高資)
【加藤昌一郎さん評】
大古より人間と虹だけが地上に立っていた。
現在も虹は人間のために立ち、それを
人間だけが賛美している。

24.いまは無き星の光や蚯蚓鳴く(ひろみ)
【朝吹英和さん評】
宇宙空間にも輪廻転生がある事を教えられるロマン溢れる一句。
「蚯蚓鳴く」が効果的である。

【於保淳子さん評】
見えている光を放った星は、実は今存在していないのかもしれない。
季節感とともに、その透明なはかなさが感じられます。

26.昼過ぎの海の暗さや月の舟(高資)
【服部一彦さん評】
この句が描く光景から私は何を受け取るべきだろうか。
絶望的とも見える現世か、これを救わんとする慈母観音の来臨か。
迷いと妄執の渦が湧くばかり。

27.晩秋の山写し取る湖水かな(信之)
【鈴木浮葉さん評】
風も無く、湖水がくっきりと鏡のように写し取っている風景が
目に見えるよう、東山魁夷の絵を彷彿。
今回は静かなこの句がいいかなあという気分です。

【石田桃江さん評】
晩秋の山の佇まいと澄みきった湖水の水。
写し取るでますますの静寂と神秘を感じます。

【星人評】
「映す」でなく「写し取る」。ゆえに主格は湖。
紅葉に染まる山の姿を湖が「模写」している光景だ。
写さなければ我慢できないほどの鮮やかな色彩だったのだろう。
ひとつの現象が詩として表現されている。

28.涙腺の涸れし駱駝や初時雨(英和)
【加藤直克さん評】
水分をため込んでめったに体外に出さないであろう駱駝が、
涙腺が枯れるほど泣くというアイロニーに心打たれた。
そしてその背を慰めるごとく濡らす初時雨。もちろん駱駝は
重き荷物を担う人生の象徴なのだろうが、短い言葉の中に
ユーモアさえも感じさせるところに俳句の妙が感じられる。

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11月句会「選句」

2017/11/03 10:57
6句選、そのうち1句が特選
特選句に短評を付してメールで返信のこと
11月10日(金)午後5時締め切り

1 芒原モーセの海の現るる
2 大仏のてのひらにゐる穴惑
3 たたら場の水に生まるる白鳥座
4 能管の高き一音銀河濃し
5 生け垣を刈り自画自賛秋うらら
6 惣領を蹴とばして行く野分あり
7 波止釣りの人に紛れる秋日和
8 腕組みの木は黄落をためらうか
9 藁塚や若き二人はうまいする
10 拾ひ来し林檎を焼きて日曜日
11 豆腐屋のかひな赤剥け龍淵に
12 コスモスの揺れて絵画に風の声
13 晩秋を送り急ぐか陸傾れ
14 秋風に波より零る光かな
15 瞑想に秋風巻いて片目落ち
16 揺れ止まぬコスモス吾もゆれやまず
17 綿虫の背なのやわらか非戦なる
18 いつぽんのまつすぐな道一葉忌
19 ひよひよと奏づちちろの薄き羽
20 あきらめてのちの光を秋簾
21 枯野とは白線越ゆる先のこと
22 夕落葉いづれは戻るビッグバン
23 人間や地より立ちたる秋の虹
24 いまは無き星の光や蚯蚓鳴く
25 落葉降る老人と核廃棄物
26 昼過ぎの海の暗さや月の舟
27 晩秋の山写し取る湖水かな   
28 涙腺の涸れし駱駝や初時雨
29 どんぐりの屋根打つ響き露天かな
30 赤い羽根路面電車の響きかな


  
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10月句会「結果」

2017/10/11 01:21
  第61回 10月句会「結果」
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※次回11月句会は2句出しで
 10月31日(火)午後5時投句締め切り
 選句は11月7日までの一週間です

特選句 選評集

4.伏せたまま枯野になった一連隊(昌一郎)
【加藤直克さん評】
台風でなぎ倒された草原が立ち上がることなく枯れ野になった光景が
目に浮かんだ。それが突撃して死屍累々となった一連隊のイメージを
喚起したのだろうか。哀惜と鎮魂の想いに圧倒された。


16.月光のところどころに死のリズム(基道)
【朝吹英和さん評】
月光を浴びて変身する伝説は狼男や吸血鬼などにも見られ
る通り、月は生命感溢れる太陽とは反対に「死」の象徴である。
中七の「ところどころ」が不気味で効果的。


18.鬼やんまの頸にまたがり大井川(一彦)
【鈴木浮葉さん評】
フイリップ・プルマンの「ライラと黄金の羅針盤」シリーズに
鬼やんまの頸にのる妖精?の女王だか魔女がいた様な気がします。
それを彷彿させてなんだか好きな句。大井川にもいたら楽しいし、
自分もその視点から自然を見たらどうだろう、とわくわくしました。

【真矢ひろみさん評】
一読、爆笑。この程度の嘘は、文芸の歴史、短詩型の大いなる
伝統から見れば、ごくごく一般的なことに相違ない。

【森信之さん評】
大きな鬼やんまを見るとそんな気分になります。
ファンタジーあふれ、発想がとても新鮮で、
そうして大井川を渡ってみたいと思います。


19.雨上り虫の音を聞く石仏(信之)
【星人評】
もう表情も見えない風化仏だろう。
もし表情が分かれば、
雨上がりの虫時雨に相好を崩しているのかも知れない。


22.黄葉して貌消えてゆく貉かな(龍子)
【大津留直さん評】
ムジナは、民話などで山道などで人を化かすと言われている。
特に、木々が黄葉する頃には、ムジナの貌が黄葉に紛れて、
人を化かし易くなるという想像力がこの句には働いている。
貌と貉の漢字の類似性も楽しい句である。


23.小鳥来るパンとサーカスを見尽くして(龍子)
【石田桃江さん評】
小鳥来るに人生を重ねて長い長い歳月にパン(日常)と
サーカス(非日常)を十分に見ることが出来た。
見尽くしてに力強さを感じました。


24.刈り終えし稲の根っこが仰ぐ星(哲央)
【五島高資さん評】
稲刈りの済んだ田圃はもの悲しいものがある。
しかし、よく見ると稲の根元がずらりと並んでいる。
根はやがてまた土となり生命の循環に組み込まれる。
星々もそのことをよく知っている。
元をただせば稲も星々の欠片なのだから。


25.帚木に通ふ血汐や朝の星(高資)
【加藤昌一郎さん評】
空蝉も源氏も禿でもパイパンでもなかった。
二人は血汐通わす一線を越えた。
夜通し見ていた星は寝不足の朝を迎えて迷惑だった。


27.泰然と「菩提薩婆訶」を紙魚泳ぐ(ひろみ)
【阪野基道さん評】
泰然自若と般若心経を唱え、その余韻の中を泰然自若と紙魚が
行き来する。経文の中へ紙魚が悟りを求めて「走る」のではなく、
悟った紙魚が「泳ぐ」に、なるほど、と感心。


30.川風に乗りかへてゆく秋の蝶(星人)
【松本龍子さん評】
一読、詩情を感じる。「秋の蝶」は力なく弱弱しい秋に見かける蝶。
言葉のままに解釈すれば、秋の蝶が自力で飛ぶのを諦めて川風
に身を任せて飛んでいるという句意だろうか。写生句とみれば
「乗りかへてゆく」という風に作者には蝶の動きが見えたということ
である。地上に現れた蝶も川風に乗りながら川に落ち、海に還る。
「秋の蝶」は作者の分身なのかもしれぬ。


31.写楽の手ぱつと開かれ花野かな(星人)
【服部一彦さん評】
花野に対面した時の新鮮な驚きが如実

【於保淳子さん評】
力強く開いた手とそこに現れる花野の景色が鮮明に見えるような気がします。
この取り合わせが面白いと思いました。




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10月句会「選句」

2017/10/03 10:55
6句選、そのうち1句が特選
特選句に短評を付してメールで返信のこと
10月10日(火)午後5時締め切り

1 てっぺんに鵙の高鳴く空気かな
2 掌に五悪の座す月明り 
3 頬撫でていく潮風の匂いは秋    
4 伏せたまま枯野になった一連隊   
5 金風のゆれる洗濯物の影      
6 葡萄剥くぽたんと光る雫かな    
7 かりがねの棹うちしなり天を撃つ  
8 唇に南無燃えさかり彼岸花     
9 得たものと失ったもの秋の声    
10 枯野めく卓やアボガドなる爆弾   
11 地芝居の受難劇かな訥々と      
12 秋耕や星の祈りの届くまで      
13 端渓に下ろす穂先や今朝の秋     
14 十月のメトロの風は頬を切る    
15 次の間を抜けし松籟秋高し     
16 月光のところどころに死のリズム  
17 反戦の歌をつぶやく鰯雲   
18 鬼やんまの頸にまたがり大井川   
19 雨上り虫の音を聞く石仏      
20 桜黄葉散り染む下を鯔上る     
21 秋風や駐屯兵の急ぐ先   
22 黄葉して貌消えてゆく貉かな
23 小鳥来るパンとサーカスを見尽くして 
24 刈り終えし稲の根っこが仰ぐ星   
25 帚木に通ふ血汐や朝の星
26 己がじし響動んで空し竹の春    
27 泰然と「菩提薩婆訶」を紙魚泳ぐ
28 悪人も笑顔ありけり御講凪     
29 いつぱいに伸ばすアンテナ星月夜
30 川風に乗りかへてゆく秋の蝶
31 写楽の手ぱつと開かれ花野かな
32 連山の赤を集むる秋の川





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9月句会「結果」

2017/09/10 16:28
  第60回 9月句会「結果」
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※次回10月句会は2句出しで
 9月30日(土)午後5時投句締め切り
 選句は10月7日までの一週間です

特選句 選評集

6.迎え火のゆらぎてほっと消えにけり(淳子)
【五島高資さん評】
精霊の到来を彷彿させる。家に着いた安堵感も感じられる。

9.三日月の色吹き込めて草の笛(直克)
【加藤昌一郎さん評】
猛暑の一段落しそうな秋の入り口。
今日この頃、草笛の音色は本当に
爽やかなご馳走です。

11.月かくれまたこおろぎのこゑばかり(龍子)
【大津留直さん評】
表記に誤り、おそらく、ケアレスミスが一つある。
「こおろぎ」は「こほろぎ」。なぜなら、「こゑ」が旧仮名遣いなので、
一句にはその点に関して統一が必要。それにもかかわらず、佳句である。
一時、出ていた月がかくれてしまった。それで、あたりは再び、
コオロギの声がするばかりとなってしまった、というのだ。月がかくれ、
あたりが暗くなることによって、われわれの聴覚が研ぎ澄まされ、
コオロギの声の「あはれ」が、より深く感じられるのである。

12.ことばよりことばこぼれてこりんだう(龍子)
【阪野基道さん評】
声として発せられた言葉から声にならない言葉がこぼれ、
声にならない思考中の言葉から意識されざる言葉がこぼれてゆく。
歯痒さではなく、言葉が次々と生まれてゆく楽しさ、その広がりに
言葉の不思議を感じる。そして、「こ」音の連なりと、
散りばめられた濁音が、軽やかな調べを奏でている。

14.夏の果まろき心の軋みかな(信之)
【松本龍子さん評】
一読、「いのちの揺れ」を感じる。「夏の果」は夏の終わりのこと。
いのちの横溢感が満ちる夏を過ぎて丸い心がぎしぎしと音を
立てているという句意だろうか。「いのちの揺れ」という印象は
「軋み」という言葉からきている。作者は「心音」の動きの中に、
宇宙の根源的な性質をはっきりと認識している。

15.金魚の肉柔らかそうな夜である(昌一郎)
【星人評】
金魚の鰭とか動きなら、柔らかが分からないでもない。
が、ここは肉である。
観賞の範囲を超えた視線からは、愛玩の思いは感じられない。
この句はすべて夜に支配されている。夜だから見えるものがある。
文語では出せない、つぶやきのようだ。

20.胸底の昏きを探る秋灯(浮葉)
【森信之さん評】
心の底から晴々としない自分を感ずる。
何がどうしてそうなのか。いつも憂うつな
気分でいる自分の心の奥底を探ることが
できるならそうしたい。
秋灯が実にぴったり。

23.木下闇更なる闇の垂れてゐる(ひろみ)
【朝吹英和さん評】
真夏の日盛りから急に木下闇に入ると目眩がする事がある。
木下闇の中に更に闇が存在しているという発見に得心。

【石田桃江さん評】
木下闇の続く径を歩いている時の感じが伝わってきます。
径の遠くを見やると「闇の垂れてゐる」ように思えた。
「闇の垂れてゐる」が心の動きまで感じられます。

27.秋水に残されてゐる素顔かな(ゆう)
【加藤直克さん評】
ことさら素顔というのは、素顔で接することのできた女性の
顔だからであろう。そしてその素顔は再び見ることはできない
という別離の思いが伝わってくる。
秋はものを思う季節。万感胸に迫る句である。

【於保淳子さん評】
澄んだ水に映っている自分なのか、水に洗い
流されて余計なものを取り去った自分なのか。
その素顔は、好きでも嫌いでも、清々しい自然体の自分。

28.径広くなりて蜻蛉の國に入る(星人)
【服部一彦さん評】
確かにそういう感じがある。だが写実だけでなく、
実生活でも前面が開けると自己の視野や思考の幅と深さが増す
という哲学的な側面を言い表しているともいえよう。
中村汀女の名句なども思い出させる。

【真矢ひろみさん評】
径は本当は広くなっていない。
蜻蛉を媒体に異界に踏み入ったのである。

30.俳句てふ仮想空間より飛蝗(星人)
【鈴木浮葉さん評】
緑色の殿様飛蝗が飛び出してほしい。


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